腐らずに残った古代の文書 〔古文書・写本・情報技術史〕

漆紙文書とは、廃棄文書を漆の入った容器の蓋紙にし、それに漆が浸潤したことによって、腐らずに残った古代の文書。

全国的には1973年に多賀城跡で見つかったのが最初の例。

漆塗りに使う漆液は、長時間空気にさらすと硬化する性質があるので、保存するときには漆液が空気に触れないよう、表面に密着させた紙で蓋をする。

古代、紙は貴重であったため、廃棄文書の紙が漆液の蓋として再利用された。

その結果、紙に漆が浸潤し、土中での腐食を免れることになった。

そのため、液面のかたちだけが残っており、だいたいは円形を呈する。

肉眼では解読が不可能な場合が多く、赤外線カメラを用いて解読作業をおこなう。

漆紙文書は廃棄文書の断片ではあるが、残存している一次史料の少ない古代にあっては、木簡や墨書土器、正倉院文書などとともに貴重な文字資料となっている。

手紙などのほか戸籍・暦・計帳・死亡帳など当時の公文書も見つかっている。
update:2010年03月08日